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声
響く声はあまりにも乾いてて、自分でも他人の話を聞いてるようだった。
声は震えてて、か細く、弱々しかった。
聞いてる陸久も聞き取りづらいところがあったのではないだろうか。
自分から話しといて、申し訳なく思ってしまう。
それでも、陸久は、何も言わずただ優しく聞いているだけだった。
蝉の音と私の声しかない状況はあまりにも異様で、それでも心地よかった。
陸久の優しと殴られた悔しさで、思わず涙が出そうだった。
それでも堪えれたのは、私のプライドが陸久の前では泣くなと訴えていたからだ。
だが、陸久はしっかり気づいていたのだろう。そっと、ガラスに触れるように私の背中をなでてくれた。それがなおさら悔しくて、嬉しくて、複雑だった。
「それで?」
話が途切れたとこで、陸久が聞いてきた。
まるで、その続きがあるのではないのかと言うような口ぶりだった。
「それで終わりだよ。」
すこしぶっきらぼうな口ぶりになってしまった。
きっと、陸久が優しすぎたからだ。そういうことにしておこう。
「それで終わりなのかもしれないけど、腑に落ちない。他に風花が怒る要因があるはず。」
「なんでそう思った?」
「聞いててお思ったんだけど、お前にとって殴られることは比較的当たり前なんじゃない?
いや、これってものすごくまずいことなんだけど、でも当たり前になってるような気がしたんだ。
だから、ただ殴られただけですごすごと引き下がって部活を辞めるような人じゃないと思ってる。他になにか、あったんじゃないか、部活を辞めるような理由が。」
答えられなかった、いや、答えたくなかったが正しいか。
確かに図星だ。私が部活を辞めたた原因はそこにはない。
それでも、陸久に言うことで私の弱さを見せることになるし、何よりも周りに情報が漏れないか心配だった。
こう見えても心配性なんだよ、なるべくならめんどくさいことは回避したいんだよ。
じゃあ、喧嘩とかもするなよって話なんだけどさ。
しばらく黙りになってしまった私の様子を見て、話したくないのだろうと陸久は考えたみたいだ。
私の考えを汲み取ってくれたのか、陸久は私がいなかったときの学校の様子を話し始めてくれた。
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