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私のいない学校
お前がいなかった時、結局はいつもどおりだったよ。案外変わらないもんだな、人が一人いなくなっても。変わらなさすぎて、逆に変に感じたよ。
ただ、剣道部はやっぱり違ったね。
剣道部自体は、休部状態だったよ。いつもなら、3階から奇声と打ち込みの音がグラウンドまで聞こえるんだが随分静かなもんだったよ。
少しだけ寂しかったよ、なんだかんだであの声を聞くの好きだったから。
好き、ってのには語弊があるな。あれを聞くことで、今日も部活頑張ろうとか思うようになってたんだ。
あとは、剣道部のメンバーの気の落ちよううがすごかったね。そりゃもう不謹慎だけど、お通夜状態なぐらいには暗かった。
それだけお前愛されてたんだよ。
特にTは沈みに沈みきってたね。たしか、一番仲が良かったもんな。というか、クラスメイトとかは”お前ら付き合ってるんじゃないの?”とか裏で言ってるやつとかもいたんだぜ。
学年の雰囲気も少し変わってたな。
先生たちは事件のことを知られたくないから何も喋らない。だけど、俺達は何があったか知りたい。
相反する意見が学年中で広まって、生徒と先生の間は険悪な雰囲気になってたよ。
だから、しばしばいざこざが起きる事もあったね。特に、梶谷のことが嫌いなJやA、Kあたりはなんとか探りを入れようとしてた。それを止めようとして先生たちとそいつらの間で喧嘩が起きる。
一時期は、お前の病室に行って事件を聞こうって話も上がってたぐらいだ。
まぁ、面会謝絶だってことを知って諦めてたけどな。
それでも、事件の噂は急にやんだよ。まるで、蜘蛛の糸が勢いよくぷつんと切れるように、あっという間に、気がついたら、跡形もなく噂が消えてたんだ。
なんでだっけかな………。
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