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楽になりたい理由は
君はこの前私の怒ってる理由、楽になりたいと思う理由は別のとこにあるって言ったよね?
そうだよ、私が楽になりたい理由は別にある。
あのときは図星だったから、なんとなく話したくなかったんだよ。
君なんかにも見透かされる自分が少し恥ずかしくなってね。
そして、私にとってあいつに殴られることは君の言ったとおり、もう当たり前のことになってる。
ひどい話だよね、殴られるのが当たり前だなんて。自分でもおかしく感じるが慣れちゃったんだよ。
あ、本題に入ろうか。
私が楽になりたい理由は、怒ってる理由は”大人に幻滅したから”かな。
君が病院に見舞いに来る数日前にS先生と梶谷が来たんだよ。
その時はっきり思い出したんだよ、自分が病院にいる理由もあいつらが来た理由も全部思い出したんだ。
だからね、謝罪するんだと思ってた。なんて言ってやろうか色々考えたんだよ。
罵倒するのもいいし、正論ぶつけるのもいいなとかって思ってたんだ。
でもね、あいつらが言ったことは全く違った。
”今回は災難だったね、まさかタイヤが倒れてくるなんて君も考えてなかったでしょう?”
”梶谷くんが応急手当で傷口をすぐに圧迫してくれたのが効いたのか後遺症もほぼないらしいしね。梶谷くんにお礼行っときなさいよ。”
だって。笑っちゃうよね。だって、こっちが考えてたことは言わないし、かと思えば噓八百並べるし、内心腸が煮えくり返りそうだったよ。
だから、流石に反論したんだ。ほんとは梶谷が木刀で殴ったんだ、って。
でもねそしたらあいつが
”命の恩人にその言い分がないよ~。それとも頭打ったときに記憶までおかしくなったのか?たしかに俺はお前に色々やったけど、そんなことはしないよ。”
だってさ。ほんと、気持ち悪くなったよ。お前に頭がおかしくなたのかって言われる筋合いもないし、お礼を言う筋合いもないしで。
だから、幻滅したんだ。大人は判ってくれない。大人は都合がいいように物事を持ってく。そのためならこどもだって使われる。
そして、事件の当事者の話を聞かない姿勢に腹が立ったんだ。
もちろん事故として学校側で処理されたから警察は動いてくれない。
すべてが嫌になったよね、誰も私の味方はいない、大人なんか信用ならないんだって思ったよ。
それが、私の怒ってる、楽になりたかった理由。
だって、こんな歪んだ世界で生きていたくないもん。自分の目まで歪んじゃうし、腐っちゃう。
もう、この世界の大人自体が腐ったみかんなんだよ。
そう考えたら居ても立っても居られなくなっちゃて、水を見たら飛び込みたくなるし、高いところに行ったら飛び降りたくなっちゃった。
さしてやり残したこともないから別にいいかなって思ってる。
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