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吐きでた涙
言ってて涙が溢れてきた。周りがこんなに理不尽だと思ってなかった。もう少し優しいと思ってた。
裏切られたと思った瞬間、我慢ができなかったんだろうな。いや、今まで溜め込んできた鬱憤を全部吐き出したことで涙が溢れてきたのかな。
気づいたら陸久の大きな手が背中にあった。優しく温かく、それでいて悲しい手。
私が泣き止むのを待って陸久は小さく言った。
「全部、吐き出しちゃっていいんだよ。」
その言葉が、引き金になった。陸部がいるから大声では泣けなかったけど、止まった涙がまた頬を伝った。
溢れた感情を簡単には止められなかった。
また泣き止むのに、ざっと一時間はかかっただろうか。
その間、陸久は絶えずそばにいてくれた。全く、その優しさはどこから来るんだか。
泣き止むのを見計らって、陸久は場所を変えないかと提案した。
どうやらかなり時間が経ったようだ。私が家を出たときより太陽は高く昇り、地面は熱くなっている。
歩くだけで額に汗がにじむ。
少し歩いて人気の少ない日陰にやってきた。途中で自販機で飲み物を買い、休憩しながら陸久は思い出したことを話してくれた。
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