崩壊

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崩壊

手が汗ばんだ。暑さのせいか、緊張のせいか、恐怖のせいかわからないが手が汗ばみ喉が異様に乾いた。 思わず買ったお茶を飲もうとしたが、手が震えてうまく開けられない。 おかしい、なんで先生まで事実を隠そうとするんだ。 知られると面倒になるから? こども一人なら丸め込めると思ってるから? 自分たちの立場を守りたいから? なんで、なんで、なんで、なんで、なんで? どうにかして開けたお茶を飲もうとしたが飲めなかった。むせてしまった。 僅かに入ってきたお茶はすっかりぬるくなっていて、気持ち悪い。 「ゲホッゲホッ、ゲホッ……カハッ…」 陸久の心配そうな手が伸びてくる。そのまま、背中を擦るのではなく私を優しく引き寄せた。 あまりの衝撃で抵抗できなかった私は、そのまま崩れ込み陸久の胸で泣き叫んでしまった。 「なんで、なんで、なんで、なんで、なんで?」 「なんで、誰も信じてくれないの?」 「なんで、私のこと誰も信じてくれないの?」 「なんで、あいつらがのうのうと学校にいるの?」 「なんで、私は怖がらなきゃいけないの?」 矢継ぎ早に出た言葉は、誰に向けて放ったわけでもない言葉だった。 たぶん、私のありのままの言葉だったんだと思う。 いくら”なんで?”と聞いても誰も答えてくれない。誰も、信じてくれない。そんな気持ちからやってきた心の黒い部分だ。 陸久は抱きしめたまま、一言言った。 「俺は風花のこと信じるし、怖いならそばにいるよ。」 「なんで、私にそんなに優しくするのよ?」 我ながら、ぶっきらぼうで自暴自棄な言葉だなと思った。 なにも信じれなかった、怯えてたからそんな言葉がついで出た。 失礼だな、せっかく心配してくれてるのに。そんな事を思っててもつい出てしまった。 「なんでって……大切な友達だから」 その一言で、少しだけ救われた気がした。 私にも、ちゃんと守ってくれる友人いたんだ。 それでも止まらなかった涙は陸久の服に吸い込まれ、嗚咽も鳴き声も全部吸い込まれていく。 溶射なく降り注ぐ太陽の日差しが周りからの視線のようにとても痛かった。
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