部活

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部活

ただ、なかなか予定は噛み合わないものである。 陸久はバスケ部、私は美術部だったので休みの予定が微妙にずれていた。むしろ、連日会えてたあの日は貴重だったかもしれない。 夏休みも終盤になってお互いの部活が忙しくなった。 その日私は、体育祭用の旗のイラストを作っていた。 ”どうしても来てほしい”と部長からの言葉で流石に休むことができなかった。 今日は向こうが休みだったから会えるかな、なんて思ってた矢先だったから若干落ち込んでいる。 一日どんよりとした雨雲が広がってたため、窓は開けずに作業は行われてた。 美術室には絵の具の匂いが満ちていて、少し気持ち悪くなってしまった私は、廊下で休んでいいた。 ふと何気なく窓の外を見ると、よく見慣れた後ろ姿がそこにはあった。 「陸久?」 思わず、昇降口まで降りて正門まで急いで向かった。 途中少し転びそうになりながらも、一段とばしで向かい息を切らしたまま陸久の元へ向かう。 「陸久っ。」 息切が切れてて上ずってしまいそうな声をなんとか抑えて声をかける。 「あれ、部活終わったの?」 「いや、違うよ。ちょっと気持ち悪くなって休んでたら君を見かけて急いで降りてきた。」 「終わってから来いよ。」 呆れながらも、嬉しさをにじませたその声を聞き落ち着いた私はこれから暇か、と聞こうとしたが 「せんぱーい、色置きどうしますかーってお取り込み中でしたか?」 後輩の大声で邪魔されれてしまった。 なんて間の悪い後輩なんだ、と思いながらも 「いや、すぐ行くよ。」 と反射で答えてしまった。 やってしまった。思わず答えてしまった。 バツの悪そうな顔で振り向くと、陸久が笑いをこらえてた。 「なによ。」 「後輩に好かれてるんだなって思ってな。行ってこいよ。」 「行ってくるけどさ。君、このあと暇?」 「だからここに来たんだろ?」 「良かった。じゃあ、早めに終わらせるよ。暑いだろうし日陰で待ってなよ。」 忠告のような言葉を残し私は急いで部室に向かった。 その途中、さっきの後輩に会った。 「彼氏さんですか?それなら邪魔しちゃいましたね。」 反省の顔と興味の顔が混ざったその顔で言われても説得力がないな、なんて思いながら私はやんわりと否定をしてすぐに作業に戻った。 少し前より雨雲が晴れたので、窓を開けて換気をしながら清々しい気分で筆を持った。
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