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部活中、この後陸久となにを話すかしか考えてなかったような気がする。
正直頭に指示内容が入ってなかった。先輩後輩問わず、色んな人から頼まれごとを受けたような気がするが、どれ一つとして覚えてない。
それでもなんとか、予定の作業を終わらせたときには既にお昼の時間を過ぎていた。
予想以上に時間がかかってしまい、陸久を炎天下の中待たせてしまったことに罪悪感を抱く。
急いで階段を降りようとした時、急に部長に呼び止められた。
「風花、悪いけどこのあと残ってくれない?まだ、色置きとか予定組み立てられてないのが何個かあって……。
このままだと体育祭までに間に合わなさそうなの。だから、2年だけでも居残って進めようかって話になったんだけど。」
いつもなら承諾をするが、今日ばかりは居残りは嫌だった。
しかし、最近入部した私には拒否権はないんだろうなと思うと渋々わかったと言うしかなさそうだった。
「わか……」
「せんぱーい、この後さっきの人と予定あるんじゃないんですか?」
まさに干天の慈雨だった。このタイミングで助け舟はありがたい。
そう思いながらさっき私を呼びに来てくれた後輩の方へ向かった。
2年のみんなは、予定があるならしょうがないとすぐに引き下がってくれたが少しばかり足を引かれる思いで、急いで向かおうとすると、
「何の予定だか知りませんけど、楽しんできてくださいね」
どうやら、顔にはっきりと出ていたようだ。陸久に会いに行くのが楽しみすぎる、なにを話そうかな、っていう高揚感が。
「あぁ、楽しんでくるよ。さっきはありがとね、助け舟出してくれて。」
「先程邪魔しちゃいましたからね、これぐらいはしないと。では。」
手短に感謝を述べて、私は急いで陸久の元に向かった。
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