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後に岳が持ってきたコピー用紙や写真の数々をメールで送ってもらった野本は、それらを自宅のソファに座って眺めながら大きなため息を吐いていた。
北城聡……。想定外の人物の名前があがってきた。
北城聡の息子、貴史とは学生時代からの友人だ。いや…親友と言っても過言ではない。野本が普通に喋れる相手…つまり、心を許している相手がつい数年前まで4人いたが、その中でも3人とは敬語で話す仲ではなかった。それは恋人だった彩香と弟の翔、そして北城貴史の3人だ。母親の前では昔から長男という肩書のせいか気を使ってしまい、敬語とまではいかないが少し硬い話し方になってしまう。
翔は子どもの頃からいつも一緒にいたし、しつけ係のような関係でもあったので敬語を使ったことはなかった。
彩香とは想いが通じ合った頃から敬語で話すこともなくなった。
しかし、貴文とはどうだったろう……。野本はそんなことを思いながら学生時代を振り返る。
同じクラスで席はいつも近かったし、何かと貴史に誘われることが多かった。祭りに行こうとか、ボーリングに行こうとか、体育祭で一緒にリレーに出ようとか、そんな事に巻き込まれて勝手にエントリーさせられていた気がする。
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