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さて、どうしたものか…そう思いながら、伊織はチラリと2階の通路にあるクリア板から階下を見下ろした。1階にはグランドピアノの周りに人だかりができている。どうやらY〇utuberでもいるようだ。質素な機材だが、動画を回しているようだった。
これは面白くなるかもしれない。
伊織はそう思いながら、走り寄ってくる男たちに黙って捕まった。
勢いに押され、身体が床に倒れた。その上に男たちが馬乗りになる。どうやら逃げるとでも思われているようだ。
「やめろっ!!」
伊織はわざと大きな声を上げて抵抗した。
「暴れるな!!」
美しい男が声を荒げた。
野本純一。伊織が殺害した折原彩香の元恋人。
そしてその相棒は…確か、阿達そらとか言ったか。
床に押さえつけられている伊織には見えなかったが、野本は上着の内ポケットから手錠を取り出したようだった。それを伊織の手首にピタリとつけると、重く冷たい感覚が皮膚を通して伝わってきた。
伊織は二人には気づかれないように口角を上げて微笑んだ。マスクをしているから声を出さなければ気付かれることはない。そして手錠をはめられる前に冷静に話し始めた。
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