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「それは想定内です。私の事はある程度調べはついていたと思いますが、父親の事は別です。私の父親は…普通に死んだわけではないので」
「普通に死んだわけじゃないって…どういう意味ですか?」
今度は葉月が訊いた。
「私にもよく分かりません。ただ、ありえない状況で死に、ありえない罪を着せられて事故として処理された…というくらいしか」
「ちょっと待ってよ、それじゃあ分かんない」
彩羽が助手席にしがみつき、しかめっ面をする。
「私の父親は火事で死んだんです。警察やマスコミは父の寝たばこが火災の原因だと報じました。しかし私の父はたばこは吸いません。その事は父を知る人間であれば誰もが知っているはずでした。しかし警察はそう発表した。そして父の葬儀の日に警察関係者が分厚い香典袋を置いていったんです」
「それって……」
彩羽は横目で葉月を見た。葉月もまた訝しげな表情で彩羽を見ている。
その一方で、運転席ではそらが眉間にしわを寄せながら唸り声をあげていた。
その唸り声を聞いて野本がそらを見る。
「どうしました?」
野本が訊くと、そらは首を傾げながら目を細めて話し始めた。
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