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「なんか、似たような話を聞いた気がして。確か、辻さんのお父さんも不可思議な事故で亡くなっていて、警察関係者から分厚い香典をたくさんもらったって言ってましたよ。それに、水川もだったかな」
「辻くんと水川さんのお父さんも?」
野本は表情を変えた。
「ああ…知りませんでした?うちの捜査一課の若手は親が警察官だった人が多いんですよ。確か…辻さんと水川、あと…佐多さんもそうかな。それに、あの3人の父親も元警視庁の刑事ですよ」
「警視庁の?」
それには野本だけではなく葉月と彩羽も表情を変えた。
「そんな偶然ってある?」
彩羽が訊く。
「ないでしょうね。父親が警視庁にいたならその子供が警察官になる場合、大抵は警視庁に所属しているはずです。東京近辺に住んでいるはずですから」
「それじゃあどうして4人は札幌にいるんですか?まさか偶然…ってわけじゃないですよね?」
葉月が訊くと、野本は何か思い出したように目を大きく見開いた。そして指先で顎を撫でながらつぶやく。
「いえ…多分…偶然ではないです……」と――。
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