君を殺す誰か・Ⅱ ~葬られた秘密~

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「今日は札幌の中央区にあるデパートに来てます。店名は言えないんですけど、おそらく風景を見れば分かる人も多いかな?と思います。今日はですね、ここで、北海道と言えばこの曲…千本桜を弾きたいと思います」 するとカメラマンのサミーがサトーに話し掛ける。 「なんで北海道と言えば千本桜なの?」 「だって、千本桜と言えば初音ミクでしょ?初音ミクと言えば札幌じゃん」 「え?そうなの?」 「お前、そんなことも知らないで撮影してんの?」 サトーはカメラの向こうにいるサミーを見て笑う。そして改めて説明を始めた。 「ボーカロイドっていうのは、いわゆるぅ…音声合成ソフトウェアなんですけど、もともとヤマハが開発したシステムなんですね。その技術を使ってクリプトン・フューチャー・メディア社から初音ミクが誕生したんですよ。で、その初音ミクを生み出したクリプトン・フューチャー・メディア社って言うのが札幌の中央区にあるんですねぇ」 それを聞いたサミーは苦笑いを浮かべた。 「っていうか、詳しいね」 「いやぁ…今日のために調べてきたから」 「調べたんかい!人を小馬鹿にしたくせに」 「いや、まあ…ちょっとでも知的なところを見せたいじゃない?こいつ、ピアノしか弾けないんだろって思われたくないしさ」 「にしても理由がチャラいよね」 サトーとサミーの会話がある程度進むと、周辺を行き交う人が歩みを止め始めた。
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