君を殺す誰か・Ⅱ ~葬られた秘密~

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店と店の間にある大きな通路の間に置かれたグランドピアノの存在と、そのピアノの上にセットされたマイクに気付いたようだ。そしてその横でスマートフォンを構えて撮影をしている男二人がいる。周辺のアパレルショップやネイルサロンからこちらを見ている客や店員の姿もある。 そろそろ観客も集まってきた頃だ…そう思ったサトーは、「じゃあ、そろそろ始めましょうかね」と言って、グランドピアノを振り返った。 一歩、足を踏み出したサトーに、二人組の女性が近づいてきた。 「あの…いつも見てます。頑張ってください」と、握手を求めてきたのだ。 20万人ほどいる登録者だが、99%が日本人だろう。しかし、そのうち何人の人がこの札幌にいるのだろうか。もしも彼女たちが登録者だとしたらすごい確率で出会ったことになる。 サトーはにこやかにほほ笑み、「これからも動画見てください。ありがとう」と言ってこぶしを合わせるだけの挨拶をした。一応コロナ対策だ。 「ちなみに何かリクエストはある?」と彼女たちに訊くと、「y〇asobiの曲、何か弾いてほしいです」と言われた。今人気のアーティストだ。当然名前は出てくるだろうと思っていた。過去に動画でも何曲か弾いた記憶はある。 「OK!じゃあ、後で弾くね」 サトーは彼女たちから離れ、グランドピアノのすぐ横に設置されていた消毒液で手を消毒した。
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