君を殺す誰か・Ⅱ ~葬られた秘密~

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その後、椅子に座ると鍵盤に指を置く。最初の曲は千本桜だ。そう思って鍵盤を確認した時の事だった。 「キャー!!」と、女性の大きな声が聞こえた。 いや、聞こえたと言うより、広い建物内全体に響き渡った。 「やめろっ!!」 「暴れるな!!」 次から次へと人の声が重なって聞こえる。悲鳴以外は男性の声だった。 ふと、周囲にいる観客たちを見ると、みんな上の階を見ているようだった。数人はスマートフォンをそちらに向けている。 サトーも立ち上がり、上方へ視線を向けた。 中央の天井は吹き抜けになっており2階と3階の通路がクリア板越しに見えているが、2階の通路で一人の男に対し、二人の男が馬乗りになっているのが見えた。 下敷きになっているのは20歳前後の若い男で、馬乗りになっている二人は30代半ばくらいだろうか。しかし、二人とも細身だが鍛えられているのか体格はよく身長も高いように見える。 サトーはすぐにサミーにカメラを上に向けるよう指示を出した。サミーは慌ててカメラを2階に向けた。 すると次の瞬間、馬乗りになっていた二人の男の内、一人がどこからか白っぽい二つの輪っかのようなものを取り出した。 「嘘だろ……」 サミーは呟きながらその状況を撮り続ける。 しかし男たちは1階までは聞こえない程度の声量で数回やり取りをすると、輪っかを持っていた男がそれをおろした。
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