君を殺す誰か・Ⅱ ~葬られた秘密~

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馬乗りになっていた男たちは悔しげな表情を浮かべながら立ち上がると、通路に倒れていた若い男も立ち上がりながら膝を払った。するとその若い男は輪っかを持っている男に近づき、至近距離で何かを囁いた。 その瞬間、輪っかを持った男の表情が明らかに変わった。 そして、若い男は爽やかな表情を浮かべて微笑むと、踵を返し歩き出した。 「なぜお前が知っている!?」 輪っかを持った男が大きな声で問い掛ける。しかし、歩き出した男は止まろうとはしなかった。残された二人も追いかけることができず、男の後姿を見送っていた。 「あれって…手錠…だよね?」 サミーが思わずサトーに訊いた。サトーも視線をそのままに呟く。 「俺もそう思ったんだけど…相手が犯罪者ならなんで逮捕しないんだ?」 「っていうか…そもそもここってデパートでしょ?こんなところで捕まるのって万引き犯くらいじゃないの?それとも…どっかの店で事件起きた?最近、そういうヤバい奴多いし……」 「それなら逮捕してるだろ。それにしても…万引きくらいじゃ手錠しないよな?」 二人はようやく2階の男たちから視線をはがすとお互いの表情を確認した。 「やっべーもん見たよな、今」 顔を見合わせながら全く同じことを言った二人は、その後Y〇utubeの撮影どころではなかった――。
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