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『殺しが楽しいかって?…俺は楽しいとはあんまり思わないけど、君は?』
『そうね…2度目の殺人から楽しいと思い始めたかな。1度目は…ただただ動揺して…驚いたというか、怖かったというか…こんなはずじゃなかったって思ったわ』
『1度目の殺人は偶発的だったって事?』
『…そんなこと聞いてどうするの?』
『知らないことを知りたいと思うのはダメな事かな?』
『普通の人は人殺しについて語ったりしないわ』
『ははっ。僕らは普通とは違うからね』
イヤホンから聞こえる音声に思わず笑みが零れた。しかし、誰も彼が笑った事には気づかない。時代が時代だ。今はコロナ禍。マスクは必需品で誰もが身に着けている。新型コロナウイルス、covid-19が発生しておよそ2年の月日が経とうとしているが、未だに収束の目処は立ってない。
イヤホンから聞こえる会話に夢中だった男…播磨伊織は、札幌市内にある大型デパートの2階にある若者に人気のアパレルショップでセール価格になっているジーンズに手を掛けた。
『折原彩香を殺した時はどうだった?興奮した?』
女の声が言った。
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