関係者

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靴を履いた後、改めて大きなため息を吐くと、シューズケースの上に置かれている50枚入りマスクの箱から一枚不織布マスクを取り出した。 「行きたくねぇ……」 呟きながらもマスクを装着して玄関を出ると、鍵をかけて階段を下りた。 贈答品(ギフト)店の駐車場へ向かうと見覚えのある車があった。しかも運転席にはマスクもしていない髭を生やしたスマートなイケメンが乗っている。しかしまあ、目つきが悪い。その上、今日も黒っぽいスーツを着ている。もう刑事かヤクザにしか見えないのだが……。 彩羽はもう一度大きなため息をついて車に近づいた。 すると向こうも彩羽の存在に気付いたようだ。 さっきまでとは打って変わって笑顔を向けられた。 「いや…爽やかすぎんだろ」 思わず突っ込んでしまう。 戸惑いながら助手席に向かうが、そういえばここのドア、閉まったら内側から開けられないんだよな…と改めて思い出す。だから後部座席のドアを開けたが、すぐに岳から言葉が返ってきた。 「後ろもチャイルドロックかかってるよ」 「のぉあ……!」 どっちに乗っても逃げ場ないじゃん!と、思わず岳を見て目を細めた。 「嫌がることはしないから早く助手席に乗りなさい」 「そんなこと言ったってこないだは無理やりキスしたじゃん!」 「そんなに嫌がってなかったと思ったけど?」
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