関係者

18/24
前へ
/712ページ
次へ
「そうだろうなぁ。お前のは役に立つかもしれねぇなぁ。でもお前は役立たずだ!それどころかお荷物なんだよ!!そうだ…ようやく会えたから伝えておいてやる。からの伝言だ。金輪際(こんりんざい)お前の面倒は見ない。自分のケツは自分で拭け。分かったな?」 「そ…そんな!」 「お前と話すことはもうない。二度と俺にそのツラ見せんな」 その数秒後、店のドアが開いた。鈍いベルの音が鳴って、姿を現したのは岳だった。 彩羽の顔を見て岳は少し寂しそうな顔をしている。しかし彩羽は何も言わない。 「家まで送る」 岳が言った。 「ジュースは?飲むんじゃないの?」 彩羽が訊くと、岳は目を大きくして驚いた表情を浮かべた。 何を思ったのか想像はつく。それでも彩羽は特に何を言うでもなく、首を傾げて岳を見る。 「怖くねぇのか?」 岳は警戒する様子もなく言った。 「うーん…よく分かんないけど…ジュースおごってくれるんでしょ?それなら私は損しないから」 岳はふっと笑い、彩羽の頭をくしゃくしゃと撫でた。 「変わった女だな。俺の本性を見ても平然としている女は初めてだよ」 「本性?いやぁ…本性はエロオヤジでしょ?ああ…キス魔?」 そう言うと岳はまた笑う。 「それは君にだけだ」 そう言うと岳は彩羽の手を取った。車まで手を繋いで歩き、彩羽を助手席に乗せた岳は、運転席に乗り込む。
/712ページ

最初のコメントを投稿しよう!

426人が本棚に入れています
本棚に追加