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「そうだろうなぁ。お前のお友達は役に立つかもしれねぇなぁ。でもお前は役立たずだ!それどころかお荷物なんだよ!!そうだ…ようやく会えたから伝えておいてやる。親父からの伝言だ。金輪際お前の面倒は見ない。自分のケツは自分で拭け。分かったな?」
「そ…そんな!」
「お前と話すことはもうない。二度と俺にそのツラ見せんな」
その数秒後、店のドアが開いた。鈍いベルの音が鳴って、姿を現したのは岳だった。
彩羽の顔を見て岳は少し寂しそうな顔をしている。しかし彩羽は何も言わない。
「家まで送る」
岳が言った。
「ジュースは?飲むんじゃないの?」
彩羽が訊くと、岳は目を大きくして驚いた表情を浮かべた。
何を思ったのか想像はつく。それでも彩羽は特に何を言うでもなく、首を傾げて岳を見る。
「怖くねぇのか?」
岳は警戒する様子もなく言った。
「うーん…よく分かんないけど…ジュースおごってくれるんでしょ?それなら私は損しないから」
岳はふっと笑い、彩羽の頭をくしゃくしゃと撫でた。
「変わった女だな。俺の本性を見ても平然としている女は初めてだよ」
「本性?いやぁ…本性はエロオヤジでしょ?ああ…キス魔?」
そう言うと岳はまた笑う。
「それは君にだけだ」
そう言うと岳は彩羽の手を取った。車まで手を繋いで歩き、彩羽を助手席に乗せた岳は、運転席に乗り込む。
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