関係者

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「面倒って?岳さん、何か犯罪に巻き込まれたの?」 「いや…その当時、俺はまだ子どもだったから、犯罪に関わるほどの知識もなかった。親からネグレクトされてたんだよ。で、時々俺の様子を見に来てくれた刑事がいたんだ。俺はその人に救われた。だけどある日、突然訪ねてこなくなった。2ヶ月くらい経った頃、同僚の刑事が俺を訪ねてきた。面倒を見てくれてた刑事は死んだって。これからは自分が来るからって言って、それから俺は警察官になって、その後もその人にはお世話になってた。で、その人がこないだ連絡をくれたんだ。俺の恩人が死んだ事件の再捜査をするって」 岳はため息を吐きながら背もたれに頭を預けた。 「ようやく役に立てると思った。あの事件にはうちの暴力団や官僚の息子が関わってると確信していたから……。そしたらどういうわけか、君があの店に来てた。あの店に来る客はだいたい決まった客ばかりだったのに、見知らぬ若い女性があんな危険な店にいた。しかも…俺好みだったわけだ」 「そこは事実なんかい」 彩羽は思わず突っ込みを入れた。 岳はくすくすと笑っている。 「初めて会った時から穢れのなさを感じていたし、あの店にはたまたま立ち寄っただけだろうとは思ってたけど、先輩に君の事を聞いたら“後輩の知り合いだ”と言われた」 「後輩の知り合い?え…誰?」 「俺の先輩は江原勇哉。江原さんの後輩は野本純一」
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