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彩羽も目を開けて身体を起こすと、岳の方に身体を向ける。
「うん…それは分かってるよ。私だってバカじゃないし。だけど……」と、彩羽は頬を膨らませながら言う。
「私もサイコパスに狙われてるのよ。で、そのサイコパスがあの店に行けって言ったの」
「サイコパス?」
「たぶんもう何十人と人を殺してると思う。証拠があがらなくて逮捕できずにいるんだけど、私はどうやらそのサイコパスに気に入られてるみたい。だから無視できないんだ。あいつの言う事を無視したら…それこそ殺されかねない。まあ…死んでも別にいいんだけど。こんな身体だし、生きてるの辛いって思う毎日だから……」
「だから警察と繋がりがあるのか?」
岳に言われ、彩羽は頷いた。
「こないだお姉ちゃんが刺されたの。命に別状はなかったけど…たぶん、お姉ちゃんを刺したの、あいつの相棒なんだ。だから、いつ何が起こるか分からない。だからこそ、事件をちゃんと解決したい。あいつに弄ばれるのは嫌なの」
彩羽が真っ直ぐ岳の目を見つめて言うと、岳の手が伸びてきて頬に触れた。
「今日は何もしないって約束しちゃったんだけどなぁ…でも、彩羽から誘ったよね?」
「誘ってはない!」
彩羽がはっきりと断言する。
「いや…最初にキスしてきたのは彩羽だろ」
「それはそうかもしれないけど…あれは…その…勢いっていうか?」
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