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言い訳するように彩羽が抵抗する。しかし、岳はシートベルトを外して彩羽に覆いかぶさると髪を梳きながら口づけた。
最初は軽い口づけ。それがどんどん濃厚になり、口の中に舌が入ってくる。
「んんっ!」
彩羽が驚いて岳の胸を押す。しかし、びくりともしない。
「苦しっ……」
岳の下が口唇を舐める。
「こないだのキスが初めて?」
至近距離で岳が訊いてきた。
「中学生の時…無理やり同級生の男の子にされただけ……」
「おいおい…そのガキの名前教えろ」
「やだよ。もう名前も思い出したくない」
そう言ったら、また口づけが始まる。
「待って…苦しいから…それイヤだ……」
口腔内を舌でなぞられるのが苦手な彩羽は抵抗するが、岳はやめようとしない。それどころか、右手が膝を撫で始めた。
その瞬間、彩羽の手が膝を撫でる岳の手を叩いた。
驚いた岳が口唇を離す。
「やりすぎっ!!」
真っ赤な顔をして彩羽が怒っているのを見ると、岳は彩羽の首筋に顔をうずめて笑った。
「可愛すぎだろ。なんなんだよ……」
首に息がかかってくすぐったい。
ふと、彩羽はもう一つ大事な事を思い出して岳の身体を手で押した。
「そういえば私の家…なんで分かったの?」
彩羽が訊くと、岳は「野本さんから聞いた」と言った。
「あんにゃろう…喋ったんか!普段は無口で不愛想なくせに仲間には何でも話すんだな!性格悪すぎだろ!」
「おや?随分と野本さんと仲がいいみたいだね?」
嫉妬心むき出しで岳の顔が再び近づいてくる。
「仲良くない!あんな奴大っ嫌いだ!」
そう言っても岳は許してくれず、それからしばらくの間、岳の強引なキスに付き合わされた――。
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