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槇原家に私服で集まったのは、野本、愛音、江原、そして岳の4人だ。関係者全員が家に来るとなるといろいろ問題があるため、目立たないように、警察関係者だと気づかれないようわざわざラフな服装に着替えて集まってもらった。とはいえ、野本はスーツを脱いでも白いYシャツを着ている。
そんな野本に呼び出し電話を掛けたのは彩羽だ。
「えーっと…江原さん?」
彩羽が江原を指さして訊く。
「どうも、うちの野郎どもが全員まとめてお世話になっているようで」
「ええ…特に辻さんの事はえらいお世話してます」
彩羽が深々と頭を下げて挨拶をした。
「え…“辻さんのお世話してる”ってどういう意味?彩羽?」と、岳が暴走し始めると野本がそれをなだめるように岳の肩を叩いて耳元で説明を始めた。
理由を聞いたらしい岳は、愛音が狙っているのが彩羽ではないことを知って安心した表情を見せた。
「まあ、とりあえず座ってくださいよ」と、彩羽がリビングのソファを勧めると、4人はテーブルを囲んでL字型のソファに座った。
彩羽はそのままキッチンへと消えて行く。
「で、岳は警察辞めてからずっと暴力団の内偵をしていたわけだ」
江原が二人に説明するように言った。
「水川さんにはお世話になったんです。あんないい刑事が死ぬなんてありえないでしょう?しかもあの事件に官僚が絡んでいると分かって、暴力団組織までバックにいると聞いたら黙っていられるわけないじゃないですか」
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