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「アホな連中が大麻でラリッてたんですよ。住宅地にある喫茶店の中で煙モクモクふかして。ありえないでしょう?周辺には学校だってあるんですから。そういうアホな事をする奴らをしつけるのが今の俺の仕事なんですよ」
野本と江原は顔を見合わせて歪な笑みを浮かべた。
「警察と大して変わらんな。下手したら俺たちよりいい仕事してんじゃねーか?」
「冗談辞めてくださいよ。所詮、暴力団は暴力団です。金や暴力で物事を解決する。最低な組織ですよ」
岳はお茶を配り終えるとソファに腰掛け、一口お茶を飲んだ。
「で、収穫はあったのか?」
江原がまた訊く。
岳はパーカーのポケットから四つ折りにしたコピー用紙を取り出してそれを開いてテーブルの上に置いた。
「22年前の事件の犯行に関わっていたのは井上雅春…こいつの周りには俺と同じ組織に属している同級生もいます」
「同級生?」
岳は写真を数枚取り出し、その中から一枚の写真をテーブルに乗せた。
そこには幸薄そうだが、優し気な男性の笑顔が写っていた。隠し撮りした物だろう。笑う時は照れたように笑うタイプのようだ。髪は肩につくほど長く、しかしどこにでもいそうな顔をしている。
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