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「加藤明。雅春とは中学の同級生です。実家が貧乏だったらしくて高校に通えなくなった加藤は、軽犯罪で金を手に入れながら生活していました。そんな時自身がクスリに手を出し、依存してしまった。クスリを買うために金が必要になり、売人になるという選択をした。で、暴力団と出会って、そこからは組で面倒を見てもらっているそうです」
江原は写真を手に取るとその顔を目に焼き付けた。
一方、野本は折り目の付いたコピー用紙を見ている。そして何かに気付いたように目を見開いた。
「え……?北城…聡……?」
野本の声に岳が反応する。
「知ってるのか?」
江原が訊いた。
「ええ…同級生の父親です。確か…大きな建設会社の社長です……」
それを聞いた岳は頷いてみせる。
「その通りです。北城聡は政界とも繋がってる。うちの組と直接的な繋がりはないが、官僚の井上順二とはそれなりの繋がりがあるらしい。何か知っているんじゃないかと思って気には留めていたんだ」
それを聞いた野本は額に手を当てた。
それに気づいた江原は野本の顔を覗き込む。
「そんなに仲のいい友達なのか?」
そう訊かれ、野本は困惑しながら頷いた。
「彩香が死んだ時…偶然ではありますが同じコテージに泊っていました」
それを聞いた愛音と彩羽の目が大きく見開かれる。
「それって……」
言葉にならない何かしらの感情が胸を痛めた。
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