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「ええ…俺が。一週間後に偵察に行く予定で、いつも収穫量の確認と売買価格、その取り分の交渉をしています」
「取り分まで交渉するのか?」
「確かに製造しているのは本人たちですが、売買する地域を仕切っているのはうちの組です。札幌もそうですけど、うちの組の助けなしではあいつらがクスリを売りさばくのは無理ですから」
江原は軽くため息を吐いた。
「ちなみに、大麻をどんな場所でどれくらいの人数で製造しているのか調べられないか?」
江原に訊かれると、岳は渋い顔を見せる。
「難しいですね。通常の偵察は栽培場所にまで足を踏み入れませんから。相手もそれを嫌がります。取り分に変化が生じるのが嫌なんでしょうね。でもまあ…今回はちょっと踏み込んで偵察してみようと思います」
岳はそういった後、数枚の写真をテーブルの上に並べた。
「こいつらがルスツの別荘に出入りしている雅春の同級生たちです。こいつが戸田清司。これが佐藤小太郎。で…彼女が加賀恵美理。こいつが加藤明、暴力団員です。それからこれが小牧礼美、喫茶店の店員。あとぉ…これが類智明、雅春の後輩らしいです。こいつは東京でクスリの売買に携わっています。他にもうちの幹部からは三宅由伸、代田和己の二人も売買に加担しているので注視してください」
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