エピローグ

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 晴とともに実家に戻ると、杏子の両親が穏やかな顔で出迎えてくれた。  そして、にこにこしながら母が戸棚から出して持ってきたのは、当時記入した婚姻届だ。 「おばさん、ずっと持っていてくれてありがとうございます」  晴が律儀に頭を下げて、二人にきちんと向き直る。 「遅くなりましたが、杏子さんをお嫁さんにさせてください。お墓に入るまでずっと大事にします」  改めて頭を下げた晴に、杏子は涙があふれていた。そして慌てて自分も両親に頭を下げる。 「――晴くん、立派になったね」  父の言葉に晴は顔をあげて、本当に心の底から照れて笑った。  *  挨拶も終わり、杏子の部屋へ行くと懐かしさのあまりついついはしゃいでしまった。 「よくここで一緒にいたよな」 「私が勉強教えても、晴はちっとも聞いてくれなくて大変だったなぁ」 「いいんだよ、どうせ公式なんて役に立たないんだから」  ベッドに腰かけて懐かしーと言っていると、晴が隣にやってきた。杏子の腕を掴むと、薬指に指輪をはめる。 「もうこれで俺から逃げられないな」 「これ婚約指輪!?」 「それ以外なにがあるんだよ。首輪のが良かったか? 最近はネットでなんでも買えるんだぞ、手錠とか首輪とか躾し直すのに必要なものくらいすぐ揃――」  杏子は晴を押しやった。 「そういう趣味はありません」  晴はニヤニヤしつつ、唇に優しくキスをしてくる。 「首輪なんてなくても、私はずっと晴と繋がれてるよ」 「これからも俺に繋がれておけよ、きょうちゃん」  指を絡ませながら、ゆっくり唇を重ねる。初めて繋がったときと同じように、胸がドキドキと高鳴った。 「これからもずっと晴の側に居たい」 「言われなくとも離れる気はないから」  額をくっつけ合うと、過去から現在までが繋がって行く気がする。  しばらくそうしてお互いの気持ちを確かめあって微笑んだ。  おわり
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