Webにまします、我らの父よ

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 何かが起こったとして、その理由を考えるよりも、「神」のせいにしてしまえばとりあえずはスッキリする。守らせなければならないルールがあるとして、その理由をくどくど説明し納得させるよりも、守らなければ神罰が下る、としてしまえば一瞬だ。  もし「神」が存在したならば、そいつは全くもっていい迷惑だろう。てめえの頭で考えやがれ、って人間たちに言いたいに違いない。俺にはそれが身に染みてよくわかる。  何を隠そう、俺も「神」だからだ。  俺の仕事は、会社のシステム管理者(アドミニストレータ)。主にネットワークやサーバといったインフラ周りをメンテナンスしたりトラブル解決をしていたりする。  システム管理者という存在は、システムに関してはまさに「神」のごとき絶大な権限を有している。やろうと思えばシステムを完膚なきまでに破壊することもできるし、社長のメールを盗み読むことだってできる。どっちもやる気はハナから無いけどさ。  まあでも、確かに俺から見れば一般(エンド)ユーザーは、はっきり言って下々の者だ。だけどこの下々の者たちの五月蠅(うるさ)いこと五月蠅いこと。一番良くあるのは「パスワード忘れた」、これだ。
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