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背後に異変が現れたのは、目的地まで後少しというところでの事だった。
一台の車がぴたりと背後についたのは気付いていた。
両側に田んぼのある片側一車線の道路だった。当然周囲は真っ暗だ。
反対車線があり、そこは誰も走っていないにも関わらず、追い抜いていく気配は無かった。
やがて始まるヘッドライトの明滅。
疲れた目にはミラーに反射されるヘッドライトの光が堪えた。
「勘弁しろよ……」
だが、ここは耐えるしか無かった。
迂闊に止まったりすれば、運転手がわざわざ降りて来る可能性だってある。
かといってスピードを上げるのもごめんだ。
相手が飽きて走り去っていくのを祈りつつ、俺はそれまでと同じように走り続けた。
きっと、ドライバーは勝ち誇った顔をしているのだろう。
他人の勝ち誇った顔というのは、見ていてイライラするものだ。
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