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スマホが震えた。返ってくるたびに、このメッセージアプリは振動する。そういう設定にした。そうしたら、あの人を近くに感じられるような気がした。でも今は、その近さに怯えている。なんてきたのか、確認するのに数秒時間が経った。
〝──愛されない人っているのかな〟
どんな声音であの人はこれを言うのか、知りたかった。
なにを思って、なにを考えて、この文字を打ったのだろう。
〝いるよ、わたし。神様から呪われてるんだって〟
送った。だれにも言ったことがない過去を、事実を、打ち明けてしまった。
文字にして、その並びが恐ろしいと思った。改めて目の当たりにすると、その言葉に蝕まれていくような感覚がする。
読まれた痕跡が表示された。
〝──だれに?〟
〝占い師の人。前に見てもらって、そう言われた〟
『それは、神様があなたを呪っているのよ』
紫と赤で統一された目に悪い部屋が、わたしの脳内をぐらぐらと揺らした。自分の人生とか、祖父がわたしを今頃どう思ってるのか、そんなことを前置きとして伝えたら、突拍子もない言葉が返ってきた。
『ああ、生まれた時から呪われてるのね。可哀想に。ずいぶん神様があなたに怒りを示しているわよ』
有名な占い師という女は、細身で、いかにも怪しげな雰囲気を漂わせていた。すっと目を細め「だからこんなにも幸が薄いのね」と納得しているようで、それは十分にわたしの心を痛み付けた。
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