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地球が消滅した──それは一体何度目なのだろうか。
消滅し、そして再生を繰り返す。それも一瞬だ。崩壊、したのだと思った地球は、光の早さで元に戻る。そしてなかったことにする。崩壊など、なかったことにする。
元に戻ったように見せかけて、少しづつ、少しづつなにかを消していく。そこにあった校舎も、住宅街も、目の前に置いておいた蝉の抜け殻も、今では見事に消えていた。
「やっぱお前も生きてんのか」
消えていく世界で、聞き慣れた声が落ちてきた。ふわり、軽やかに、まるで今までのことがなかったような、そんな音。
「……ね、生きてるのかどうか、なんかよく分からないけど」
「はは、同感」
しゃきっとした白いシャツは、一度死を覚悟する前に見た色となんら変わっていない。そしてわたしのセーラー服も、汚れることなく、ここにある。
わたしたちは消滅したのだ、一度――いや、もう何度も。
そしてすぐに再生される。消滅とともに消えていく人間もいるのに、わたしたちはまた再生されてしまった。もう何度目なのか分からない。
「いよいよ俺の家族は全滅だ」
「……のわりには、ケロっとしてるね」
「そりゃそうだ、再生されることあんな嫌がってたんだから」
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