1人が本棚に入れています
本棚に追加
「多分ですが、あの子達は合格を手にするでしょう。しかし、それはカンニングによるもの…… 私も黙ってさえいればと…… 思ったのですが…… 私は聖職者で教師、このような不正で手に入れた御校への合格などあってはなりません……」
〈わ、わかりました。ただちにその該当生徒、御校からの受験者を……〉
ここで「標的」以外を巻き添えにするわけにはいかない。何より、私のことを「標的」に悟られるわけにはいかないんだ。巻き添えにはしないが巻き込ませて貰おう。
「不正行為をする生徒は誰かと言うのは実は分からないんですよ。私もただ『御守』を使ったカンニングをするとしか分からないものでして。念の為に一旦試験を止めて頂いて全員身体検査の方をお願いします」
そう、全員の身体検査はフェイク。「標的」一人の身体検査さえしてくれればこれでいい。
「……分かりました。まずは身体検査の方を行わせていただきます。いきなり退場と言うのも騒ぎになりますので身体検査以降は試験は通常通り継続という形にさせていただきます」
よし、うまく行った。私が口角をニヤリと上げた瞬間、予鈴が鳴り響いた。
「私、これから授業がありますので……」
「ああ、そうですか。今回はお辛いながらに教えてくださってありがとうございました」
「いえ、それでは……」
私は電話を切った。後は電話を受け付けた教師がどれだけ動いてくれるかだ。
最初のコメントを投稿しよう!