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わたしがするべきことは円に執着することや縛り付けることではなく、ひとりで生きていけるよう、しっかりと愛を与えてやることだ。だから、わたしは毎晩円を抱き締める。円ちゃんだーいすき、と伝え、円は微笑んで「円もママだーいすき」と答えてくれる。ところが円は最近好きな男の子が出来たらしく、ママが一番ではなくなったそうだ。悲しい……けども、こうして子どもは成長していくのだ。我が子の初恋をあたたかな眼差しで見守ろうと思う。この狭い部屋はわたしたちの愛であふれている。
円が眠ったあとは、携帯で各種小説賞をチェックする。もしかしたら。もしかしたら……という期待を抑えきれない。この二年のあいだ、ずっとずっと探し続けてきた。不毛かもしれない、と思いつつも、でもわたしはサーチをやめられない。
「……あった」
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