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後日譚 荒木篤子/#EX01-01.許すということ
作者注:先にスター特典小説「美冬の苦悩」を読まれたほうが理解が深まると思います。
* * *
ある晴れた春の日、ひとりで荒木の実家を訪れた。義母には事前にメッセをしていたのだが、やはり忙しい義母は見ていなかったらしく、わたしが門扉の前に着くとちょうど義母と義父が買い物に出かけるところだった。義父が車のキーをかざしてドアのロックを解除している。
「おはようございます」とわたしは挨拶をした。「いつも突然お邪魔してすみません。これ、よかったらあとで皆さんで……」
「あらあら手土産なんかいいのにいつもいつも」と答える義母は朗らかなひとだ。「美冬と春香。なかにいるわよ。玄関カギ開いているから自由に入ってちょうだいね。……あ、お昼は食べて行く?」
「いえ」とわたしは微笑んだ。「お昼は円に焼きそばを作る約束をしているので。午前中には帰ります。入れ違いになったらすみません」勿論義理両親が帰宅するまでわたしはいる予定だが。
「そうなのー」と残念そうに義母は言う。「円ちゃんも連れてきてよかったのに。ねえ、また今度円ちゃんも連れて遊びに来てちょうだいね」
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