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#01-02.納得……出来るわけがない
どんな辛いことがあろうとも朝は平等に訪れる。誰の元にも。着実に。誠実に。
朝は七時過ぎに起きる。娘と一緒にうにゃうにゃ言いながら布団のぬくもりを味わう。……ああ、冬の布団ってどうしてこんなにも離れがたい。娘もわたしも寝起きは悪い。夜型なのがわたしそっくりだ。
「じゃあ、おれ、行くから。円ちゃん。あーちゃん。行ってきます」
夫はとっくにシャワー諸々を済ませ、出かける体だ。年を取って朝が早くなった。
「……行ってらっしゃい」浮気する前までは円にしか挨拶しなかったのに。分かりやすい男。勿論返事なんかしてたまるか、いやするけど。
「パパー。行ってらっしゃい」
手を振り、夫は笑顔で消えていく。……あんなやつでもこの子の父親なのだ。さて。わたしはこの持て余す感情をどう処理したらよいものか。いや、いまはそれどころではない。とにかく、朝の支度をしなくては。
起きて真っ先にすることは、トイレに行くこと。それから顔を洗い、肌のお手入れをする。ちゃんと乳液化粧水が肌に入り込んでいないと、メイクが乗らない。なので、メイクを始める前に一定時間を置いている。
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