#01-02.納得……出来るわけがない

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 互いに着替えをし、わたしはピアス、ネックレス、腕時計、ブレスレットを順につける。わたしと違って娘は着る服をその日の朝決める主義だ。わたしは前日の夜に決めておくタイプだ。なにを着るかでメイクは変わるから。  さて。娘は自分で自分の長い髪を結べるのだが、衣装決めなど諸々で時間がかかるので、大概わたしが五分程度待つかたちとなる。じれじれする。上着を羽織り、娘が準備を終えるのを待つ。 「円ちゃん。三分遅れてる。行くよー」 「はーい」  娘の円には、まだ鍵は持たせていない。まだ自分で自分の持ち物の管理が、出来ない年頃だからだ。なので、行きはわたしが途中まで送り、帰りはわたしがお迎えに行く。……平日はいわゆるワンオペ育児をしている。時間帯の都合で――彼は朝早く出社しているので――育児の大部分をわたしが担うのは仕方ないと理解しつつも、理不尽さを感じるのが本音ではある。ましてや彼は――浮気をしている。  確証があったわけではない。なにか――会社で賞を獲るとか、いいことがあったのかな? ――そんな程度の認識だった。いま思えば、わたしの認識は甘かった。
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