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テツ兄ちゃんだった。座布団を丸めてこたつに座ってるおばあちゃんを叩きまくっていた。おばあちゃんは背中を丸めて頭を手で押さえいる。二人ともこっちに背を向けて、俺たちには気づいてない。
「お告げだ?おシラさまだ?ざけんじゃねえよ!てめえのせいだろ。てめえのせいでお母ちゃんあんなんなったんだろが!」
バスンバスンバスンバスン!
「てめえがいなくなれ。お母ちゃん返せ。お母ちゃん返せよ、クソババア!」
バスンバスンバスンバスンバスン!
ものすごい勢いで狂ったように座布団を振り回す。
見ちゃいけないものを見た気がした。
「どうする」
「とめねえと」
「どうやって」
「わかんねえよ」
テツ兄ちゃんは肩で息をしながら、おばあちゃんを叩いてる。
「殺しちゃうんじゃねえか……」
「オリ」
ヒデがぽそっと言った。見ると、こたつの奥の薄暗がりの中にオリがいた。突っ立って、二人を見ていた。
「なにやってんだ、あいつ」
「包丁とか持ってねえだろうな」
ヒロが首を伸ばしてのぞきこむ。
「包丁でどうすんだよ」
「ばあちゃんを刺すとか、兄ちゃんを止めるとか」
バカだけどこういうことには変に頭が回る。
「するはずねえよな……」
「とめねえと!」
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