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俺たちは勝手口に回って口々に呼んだ。
オーリーッ。
座布団の音が止まった。どかどかと足音が奥に消えて行った。オリが出てきた。
「ヨオ」と言う顔が固まっていた。
「ヨオ」返す俺たちもかたい。
「だいじょぶか」
俺は声をかけた。
「おお」
「兄ちゃんどうしたんだ」
「お母ちゃんが入院してから時々ああなる」
「どこ、どこ」
ヒロが割り込む。
「松長病院」
言うこと聞かないと連れてくからな、と俺たちが親におどされる病院だ。
「よけいなこと聞いてんじゃねえよ」
「だってよ……」
と言ったきりヒロもだまった。
気まずい。バカヒロが。
「なあ、お寺行って墓石飛びやろうぜ」
オリが言った。そういうやつだ。俺たちとはちがう。
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