第一章 気付き

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「ふう、ようやく終わった」  洗濯に掃除、そのあと買い出しを済ませたところで一息ついた。時計を見ると午前11時を過ぎており、太陽がてっぺんに到達しようとしている。 「いけない、早く支度しなきゃ」  11時30分には尊が迎えに来ることになっている。私は急いで服を着替えてささっとメイクを施した。 「よし、準備オッケー。ちょっと部屋が焦げ臭いけど今日は上がらないから大丈夫か」  準備を整えたその時、私のスマホが鳴った。画面には『尊』と表示されている。 「はーい」 「もしもし、未央奈? わりい、ちょっと準備に手間取っちまってさ……」  電話の先からは少し焦った感じの声が聞こえてきた。  私は気を付けて来てね、と伝えて電話を切った。 グ~  それと同時に、私のお腹が悲鳴を上げた。 「お腹すいた……」  朝のボヤ騒ぎで目玉焼きしか食べていないため、私の胃袋は空っぽになっていた。でも尊が遅れるなんて珍しいな……よほどの事情があるのだろう、ここは我慢しなければ。
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