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Reportage1
重厚に造られた両扉を2人の官女が開ける。
いつものモヤモヤとした気持ちで中に入り、後ろでは静かに扉が閉まる。
入ってすぐ、奥の壁。
少し目線を上げれば、金色の額縁に四方を囲まれた大きな人物画が目に入る。
長い黒髪に挑発するような視線。
嘲笑うかのような口元。
腹立つほど憎たらしいし、全くもって趣味が悪い。
ヴィオンは不機嫌なツラでこの人物画をにらむ。
不機嫌なのは、毎朝毎朝この人物画と対面させられているからだ。
「どうした? 王子。早く座らぬか」
たくさんの料理が並べられたテーブルの上座に座る女王がそう声を掛けた。
ヴィオンは渋々、自分の席の下座に座る。
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