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いまだにこういう少女っぽい反応をする。
もう100年以上も生きているというのに。
数年前のあの日、病の床に伏して死にかけていたと思っていたのに、ただ風邪をこじらせただけだという。
「アザミの奴、どこ行っちまったんだろうなぁ……」
何となくそんな事を呟いていた。
「国中を手配している。いつかは見つかるだろう」
「でもよ、他の国に行っちまってたらどうすんだ?」
「その時はその時だ」
「だから俺の手配書を使えって。一発で見つかるぜ?」
右手をひょいと軽く上げると後ろに控える護衛が手の平に1枚の紙を乗せる。
バーンと女王に見せつける。
「また描いたのか。絵心以前の問題だな」
「何でだよ。そっくりだろ」
“ひょっとこ”の面を参考に描いたのだ。
似てないわけがない。
女王は軽くため息を吐く。それから横の壁の時計を見上げる。
「それにしてもヤクは遅いな……」
「ヤクとブドウもな」
紙を護衛に渡し、テーブルに右手を置く。再び指で叩き、その音が次第に速くなっていった。
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