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ヴィオンの声がそろっていない事にカルダミネが気づく。
ふと見ると、ヴィオンは不満そうな顔をしていた。
「どうしたのだ、ヴィオン?」
「まだなんだよ」
「何がだ?」
不思議そうな顔でそう問い返すカルダミネ。ヤクは不安げにヴィオンを見つめる。
ヴィオンは叩いていた指を握りしめ、ドンとテーブルを叩こうとしたがやめといて、軽く握りしめた手を置く。
「ブドウだよ! ブドウ! まだなんだよ!」
テーブルに並べられた料理の左端には、ブドウのたっぷり載った皿を置くスペースが設けられている。
しかし、そこにヴィオンが毎朝かかさず食べるブドウが無い。
ヴィオンは苛立っていた。が、そこへ。
再び扉の開く音がした。やっと来たか、とヴィオンは軽く息を吐く。
「お待たせしました。毎朝のフルーツ、ブドウでございます」
「おせーぞ! ミサキ!」
「も、申し訳ございませんっ! このブドウ多すぎて重くって……」
「はぁ? 今さら何言ってんだ? 今に始まった事じゃねぇだろ!」
申し訳ございません、と今にも消え入りそうな声で“囲い”は言い、左端のスペースに大量のブドウが載せられた皿を置く。
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