腕枕

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 俺はなんだか神妙な気分になって、こたつの中で体を左に寄せた。布団をあげてジュンちゃんが入れるようにした。わかってるじゃない、と言いながらジュンちゃんがとなり座った。  それだけで俺はもうドキドキだ。ほら寝て、とジュンちゃんがうながす。仰向けにたおれて右腕を伸ばす。ジュンちゃんがゆっくり降りてきて頭をのせた。途端にその重さが電気になって体を駆け抜けた。 「どう?」 「どうって……」 「初腕枕の感想。あたしは、思ってたよりずっといい」  ジュンちゃんの声が急に近くなった。ゆっくり首を回すと目の前にジュンちゃんの顔があった。十センチもないじゃないか。 「キスはしないからね」 「しってるよ」  かろうじて答えた。ノドがからからだ。 「好きな子のときは、ここで見つめ合って、キス」  なんてこと言うんだよ。 「あたしとキスしたい?」  うなずきたくても体が動かない。心臓が止まりそうだ。 「誰かにとっておきたいのね」  ちがうよ、そんなことない――が声にならない。 「いいわ」  と笑って、ジュンちゃんは俺のほっぺたにキスをして起き上がった。 「ココア飲む?冷たいの」 「の、のむ」  雪が降り始めていた。この冬はじめての雪。
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