腕枕

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 それから俺たちは食べかけのみかんに手をのばした。おばちゃんちのみかんは家で食うよりずっとうまい。たぶん、ジュンちゃんもそうだ。 「イサ、腕枕する?」  みかんのすじを取りながらジュンちゃんが言った。 「え?」 俺は思わず聞き返した。 「愚痴を聞いてくれたお礼。大サービスだぞ」  ジュンちゃんがにっこりと首をかしげる。  圧倒的。ジュンちゃん、たぶん、ジュンちゃんは自分のすごさがわかってない。俺は圧倒的な笑顔に呑まれてバカみたいにかたまっていた。 「イサ」  「はい」 「あたしだって初めてで、こう見えてすごくはずかしいの。だから、ちゃんと受け止めてもらえると、うれしい」 「わ、わかった」
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