ヒトコト日記~18歳の環菜より~

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ヒトコト日記~18歳の環菜より~

 生島環菜、来月で28歳。高校3年生。  制服のスカートとワイシャツに身を包み、教室の自席に座っている。  その隣に座る友人。  野沢璃子、27歳。同じく高校3年生。  冒頭から、やや違和感のある説明文となってしまった。  この2人には、他の人には言えない事情がある。  恥ずかしいからとか、そんな理由ではない。  10回留年したから、この歳で高校生をやっているわけでは、決してない。  話したところで、信じてもらえるような理由でないからだ。  環菜と璃子の前には、もう2人友人がいる。  造りのきれいな小顔にショートヘア、有り余る長い足を投げ出して椅子に座っている女子高校生。  名前は、夏目清香。  バレー部のキャプテンを務める、体育会系女子。  見た目の細さに反して、フードファイターもびっくりの大食らいである。  どれだけ食べるのかは、また後ほど。  その横にいるのは、肩までのばした髪を、ゆるくシュシュでまとめた女子高校生。  身長も体型も、ごく平均的。  名前は、里見悠希。  学内でバンドを組んでおり、担当はキーボード。  所属している部活は軽音部かと思いきや、名称は『ジャズバンド部』。  部活の名称も、高校によって様々である。  清香と悠希は、18歳、もしくは誕生日が来ていないので17歳だ。  環菜と璃子だけが27歳。  この2人、数か月前までは27歳として、社会人をやっていた。  同じ高校を卒業した親友同士、今でも仲良くしている。  日本人女性の平均よりは背の高い環菜と、150㎝ギリギリの璃子。  すぐふざけたがる環菜と、毎度それを制する璃子。  見た目も中身も正反対、しかし相性は抜群の名コンビである。
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