ヒトコト日記~18歳の環菜より~

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 さて、場面を教室に戻そう。  現在は、5時間目の授業が終わったところである。  この後、クラスの担任教師が来て、HRを行えば本日は解散。  クラスメイトはあちこちに散らばり、ワイワイしながら自由に教師を待っている。  環菜と仲良し3人も、誰が号令をかけるわけでもなく、何となく集まって雑談をするのであった。  この4人、さして共通点もないのに本当に仲がいい。  前述した通り、清香はバレー部、悠希はジャズバンド部。  環菜は悠希と同じジャスバンド部、璃子は女子テニス部。  4人のうち、2人が同じバンドのメンバーではあるが、それ以外はバラバラである。  仲良くなったきっかけは、と尋ねてみても、4人同様に『いつの間にか仲良くなっていた』としか答えない。  しかし、友人なんて案外そんなものかもしれない。  仲良くなるのに、明確なきっかけや理由はなくたっていいのだ。 「……お腹空いた」  ふいに、清香がつぶやいた。  他の3人の視線が、サッと彼女に向かう。 「まさか?」 「今から?」 「食べようと言うのではあるまいな?」 「もちろん」 と清香はうなずいた。 「食べるよ」  3人がいっせいにずっこけた……。 「だって、もう和田ちゃん来ちゃうよ!」  よほど周囲の方があせっている。  和田ちゃん、と呼ばれたこの人が、3年4組の担任の先生である。  まだ若いが、よく相手の話を聞き、よく勉強を教えてくれるため、生徒からの信頼は厚い。  生徒に好かれている教師ほど、裏では愛称で呼ばれるのも、中高生くらいの生徒たちの中では、よく聞かれる話だ。
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