ヒトコト日記~18歳の環菜より~

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「大丈夫だって、」  一方の清香は平然とした表情で、自分のリュックの中を探っている。 「1分もあれば食べちゃうよ」 「1分って、何食べるのさ」 と璃子が尋ねた。 「カロリーメイトくらいしか思いつかないけど」 「そうねえ……」  清香はリュックから手を抜いた。 「あんぱんにしよう」 「あんぱん、1分で食べられる!?」  悠希が驚いて声を上げた。 「いや、この人なら食べるかも」  璃子がじいっと清香を見つめる。  璃子の予見、大当たり。  あんぱんの袋を開けた清香、あむっとかぶりついた一口の大きいこと。  1/4が消えた。  噛んで飲み下すのも早い。  口は大きく、食道は広く、胃は底なしなのだろう。  清香のあんぱんは、本当に1分足らずで彼女の胃の中に持っていかれてしまったのだった。 「足りないなあ」  そう言うと、清香は再びリュックに手を突っこんだ……。 「えっと……これはどうしたら?」  悠希が困惑した表情で、璃子に助けを求める。 「いつものことだ、もう放っておこう」  中身は28歳の璃子である。  今の彼女にとっては、清香たちとの付き合いはもう10年以上。  大食いの扱いにも、すっかり慣れた。 「ところで、」  それよりも、璃子には気になることがあるようだ。 「あんたは、さっきからずっと黙って何をしているの?」  そう言って、環菜に目を向けた。
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