ヒトコト日記~18歳の環菜より~

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「ふうん」 と清香はうなずいた。 「それで、何を書こうか悩んでたってこと?」 「そういうこと」 「でも、まだ1日終わってないじゃん」 「長く続けるコツは、1日の終わりにこだわらないこと」 と環菜は言った。 「書けるタイミングがあれば、すぐに書く」 「タイミング来てないじゃん」 と璃子がツッコんだ。 「そう、来てないの……」  トホホ、と肩を落とす環菜であった。 「じゃあ、こう書けば」 と清香が言った。 「今日はあんぱんとクリームパンを食べた」 「いや、清香のこと書いても仕方ないでしょ。私のことを書くのよ」 「今日は何も思いつかなかった」 「それ書いたら負けじゃない?」 「トホホな1日だった」 「そんなことはなかったよ」 「今日は2回も転んだ」 「授業中に筆箱落として、中身を全部床にばらまいた」 「英Ⅱの教科書忘れた」  他人事だと思って、好き勝手に言う友人たちなのであった。  この日のヒトコト日記には、こう書かれている。  日記のことをみんなに話したら、めちゃくちゃいじられた。トホホ。
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