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「おばあちゃんの話だと、秋口から学校もあんまり行ってないんだって」 「そう、なんだ」 「テレビ見て笑って、ご飯もちゃんと食べてるから心配はないんだけど、あたしとおじさんじゃ話が通じないからさ。ちょっと話してあげてくんないかい。いま呼んでくるから」  ちょ、ちょっと待ってよおばちゃん、急にそんなこと言われたって、と言う前にゴトッと受話器を電話台の上に置く音が聞こえた。  ジュンちゃーん、ジュンちゃーんと呼ぶ声が離れていく。おとといの朝までいた茶の間が目に浮かぶ。おばちゃんはいま廊下のつきあたりで元子ども部屋のドアを開けているころだ。ジュンちゃんが機嫌をわるくしてなければ、もうすぐ二人分の足音が聞こえてくる。  ジュンちゃんと話したいという気持ちはあった。けど、何をどう話せばいいか見当もつかない。まいったなと思っているところへ足音が近づいてきた――重めの足音、そして軽めの音。 「イサ、なんで帰っちゃったのよ。まだいると思って来たのに」  声は落ち込んでなかった。元気な家出少女だ。 「だってさ」 「いたら、また腕枕させてあげよかなって思ってたのに。ドキドキしてたんでしょ、イサ。正直に言ってみろ」
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