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自転車にまたがって駅に向かった。次の電車まで一時間以上あるけど、家にじっとしてなんかいられなかった。
オリんちの門が見えてきた。寄っていこうかと迷った。俺は本当はジュンちゃんに何て声をかければよかったのか、ジュンちゃんは俺と何を話したかったのか――オリの考えを聞いてみたかった。でもオリは、おまえはどう思うんだ、どうしたいんだ、と言うにちがいない。そっちのほうが大事だろうと。アライ先生もきっとそう言う。
わからないまま俺はオリんちの前を通りすぎた。駅に着いて、自転車を置いて、切符を買って、ホームに出て、端から端まで何回も往復して、プワーンと鉄橋の方から汽笛が聞こえても俺の頭は空回りをつづけていた。
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