4人が本棚に入れています
本棚に追加
「神様、お願い」
丁寧に隣で手を合わせるのは、幼なじみの梨花子だ。
何の偶然か、幼い頃から家が隣同士で幼稚園も小学校も中学校も、この春入学した高校も同じで、今年度も含めてかなりの頻度で同じクラスになっている。
「ゆーちんは何か願うことないの?」
俺の悠司という名前から、小さい頃からずっと梨花子にはゆーちんと呼ばれている。
「ないね。神頼みなんてしてる暇があれば、自分で何とかする」
「もう、ゆーちんはそんなこと言って、神様に失礼だよ? ここの神様、結構叶えてくれるって有名なんだから!」
「そうかい。けど、おまえは願い過ぎだろ」
「むー」
むくれて抗議の目を向けてくるけれど、梨花子はほぼ毎日と言っていいくらいこの神社に通い詰めている。
誇張表現なしでもやりすぎだろう。
「嘘だと思うなら、ゆーちんも何か願いなよ。はい、ゆーちんのお賽銭」
梨花子は俺の分だと言って、賽銭箱に五円玉を入れる。
神社でお願いする用にと、梨花子は小銭入れに仕切りを作り、五円玉とそれ以外とをわけて保管して積極的に五円玉を集めている。
最初のコメントを投稿しよう!